あいらの旅と日常

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体験記【腹腔鏡下手術による子宮全摘】

私は元気と健康だけには自信のある56歳、二児の母です。

この度、事もあろうに、この私が子宮卵巣全摘手術を受ける事になってしまいました。

ショックですが、事に経緯を記録しておきたくて、そしてそれで同じような人の助けになればと思い、ブログにする事にしました。

 

ちなみに、今回のテーマは病院ということで、写真を載せることができず、載せている写真は本文とは全く関係ないものです。

 

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〜手術に至る経緯〜

 

それは2年半くらい前のこと、年に一度の健康診断で、子宮頚がん検査の結果、「要精密検査」が出てしまったのです。

 

今でもその、おどろおどろしい赤い文字は忘れられません。

 

その時は、「中度異形成」というランクでした。慌ててネットなどで調べてみると、異形成にはランクがあり、軽度、中度、高度となって行き、その後は癌の領域になっていくようでした。

 

慌てて近くの癌を専門にしている大病院の予約を入れ、再検査をしました。

すると結果は「軽度異形成」

医師の話によると、これは、どんどん進行する場合もあれば、自然に消失する場合もあるそうで、軽度異形成であれば、半年に一度の検診さえしていれば、とりあえずは大丈夫との事でした。

不安は完全には消えないものの、その時はそれで納得しました。

 

それから、ずっと半年に一度の検査をしてきたのですが、この一年、「中度」から「高度」の異常が続きました。

 

医師は、3か月に一度の検査を勧め、更に通常の検査に加えて細胞診と言って細胞を抉り取ってする検査やコルポスコープという拡大鏡検査も行うようになりました。

 

この細胞診は、麻酔なしで、数ミリ角の細胞を数個、抉り取るので、本当に痛いし、検査後は数日間出血するので、本当に嫌なものです。

 

そして、ここの所、そういった一連の検査結果が芳しくなく、異形成も中度から高度あたりのレベルになってきました。

 

更に子宮頚がんの原因の一つとされるHPVも私は陽性だったため、医師は前回の結果が出た時に、治療する事を提案してきたのです。

 

私もいろいろ調べていたので、ある程度はそういう事も想定していた部分もあり、そういう場合には「円錐切除」と言って子宮頸部入口を円錐形に切除する事も知っていました。

 

ところが、医師が提案してきたのは、円錐切除ではなく、なんと子宮全摘でした!

 

これには流石に椅子から落ちそうなほどビックリしました。

 

理由を聞くと、私のように50歳を過ぎている場合、円錐切除をすると、縫口がどんどん子宮側に入り込んでいき、もし再発した場合、もはや見つけられない場所に再発してしまうのだそうです。

 

家に帰って調べた結果、確かに私のような年齢では、子宮全摘経過観察の2択だという事がわかりました。

 

私は十分納得して、経過観察ではなく、子宮全摘を選択しました。

ここまで綿密に検診を繰り返してきて、これだけ危険信号が出ているのに、更に経過観察をして、より癌に近づけてから処置するというのでは、検診の意味がないと思ったからです。

 

今だったら、単純子宮全摘で済むけれど、悪化させてからでは、切除範囲も広がる危険があるし、そもそも癌になってからでは、放射線抗がん剤までやる事になってしまうでしょう。

 

更に私に追い討ちをかけたのは、今のコロナ禍でした。

結局今はどこにも遊びに行くこともできないし、毎日会社に出勤する必要すらないのだから、今のうちに完治させてしまえば、コロナが収束した時には、再び元気全開で活動を再開できると思ったのです。

 

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というわけで、子宮全摘は決定したのですが、医師は「卵巣も全摘しますか?」と聞くのです。

 

え?卵巣⁉︎

 

そもそも子宮もまだ癌ではないのに取るのですが、卵巣まで取るとは思っても見ませんでした。

 

医師に聞いてみると、このようなケースでは、卵巣も一緒に全摘する人の方が多いというのです。

 

メリットは、将来、卵巣癌にかかるリスクがゼロになるからだそうです。

日本では毎年7500人くらいの人が卵巣癌にかかるそうです。それほど大きな数字ではないかもしれないけど、十分に危険な数字です。

更に、卵巣癌は、子宮頚がんとは異なり、発見しにくい癌で、気づいた時にはステージ3、4になっているらしいのです。

こう聞くと確かに、「ついでに」卵巣も取るというのは、意味のある事に思えます。

 

デメリットはというと、一番大きいのは「喪失感」だそうです。もう女じゃなくなってしまった…的なやつでしょうか。この点では、私は間違いなく、大丈夫だと言えます。私は自分が女性であるのは、卵巣や子宮の有無とは完全に無関係だと思っているからです。

 

むしろ私が気になったのは、もう一つのデメリットでした。

女性は歳を取るとどんどん女性ホルモンの分泌が減ってゆきますが、それでも60歳くらいまでは、ほんの微量のホルモンが分泌されているのだそうです。

最近のアメリカの研究では、その微量ホルモンがなくなると、骨粗鬆症になったり、心臓や肺にまで影響が出たりするとも言われています。

 

私はいろいろな人に聞いたり、調べたりしたのですが、私のケースで卵巣を取るか取らないかは、意見が完全に二分されている事がわかりました。

 

もうこれは、自分で決めるしかありません。

私は、自分の性格を考えると、取らないで卵巣癌になる方が、より後悔すると思い、この際、微量ホルモンは無視して、卵巣も全摘する事にしたのでした。

 

私の選択した術式は、「ロボット支援腹腔鏡下子宮卵巣全摘手術」です。

 

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開腹か腹腔鏡かと言われれば、私は断然腹腔鏡を選びます。なぜなら、傷が小さい分、社会復帰が早いからです。

こちらの病院では、お腹に約8cm間隔で1cmに満たないような小さな穴を5つ開けて手術を行うそうです。

 

ロボットか人間か…。

 

私がロボットを選んだのは、主治医から勧められたからです。実はもともとは人間を選んでいたのです。

 

そこの病院では、この手術にロボットを使うのは、私で4例目だそうで、5例行うまでは、保険診療として認められないのだそうです。

 

そんなわけで、病院側としては、何とか5例という関門をクリアしてしまいたいのです。

 

それを聞いた時、私は思わず、「それって、実験台っていう事ですか?」と聞いてしまいました。

主治医は、「まあそういう考え方もありますが、その代わり、手術には、ロボット専門医が立ち会うので、手術のクオリティとしては、通常よりむしろ高くなる可能性が大です。」と言うのです。

 

ちなみに、まだ4例目は保険適用外なので、高額になるので、手術費用は全額病院負担になるそうです。

 

私は、結局、この主治医を信じて、ロボットに命を託す決意をしたのでした。

 

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〜術前検査〜

 

手術が決まると、早速術前検査です。

血液や尿などの生理検査のほか、呼吸器検査、レントゲン、心電図、心エコー、骨盤MRIなど、盛りだくさん!

 

骨盤MRIでは、造影剤を点滴しながら撮影するのですが、私は造影剤が合わなかったのか、動悸が10分間くらい止まらず、恐ろしい思いをしました。

 

それらの検査結果は、どれも良好で、骨盤内には癌らしき病変も発見される事なく、ホッと一安心でした。

 

そして手術の数日前には、術前PCRテストを受けました。

これは、例の鼻から採取するやつではなく、自宅で唾液を採取して持って行く方式でした。

私は梅干しレモンを目の前に置いて、シリンジの線まで頑張って唾液を集めました。

これはかなり難しく、10分間以上かかってやっと線に到達しました。

そして蓋を閉めようと思って見ると…

なんともっと下にも線があるではありませんか⁉︎

私は梅干しを見つめながら規定の倍量の4ccもの唾液を集めてしまったのでした!

 

PCRの結果は幸い陰性で、これでようやく私は、晴れて手術に臨む事ができるようになったのです。

 

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〜入院生活〜

 

  • 7月6日 (手術前日)

 

前日の朝、私は1人寂しく病院に入りました。

コロナ禍で、どうせ誰も病棟内に入れないので、付き添いがいてもしょうがないからです。

 

手術前日というのは、意外とたくさんのミッションがあって忙しいのです。

 

まずは看護婦さんに病棟を案内してもらい、部屋に入りました。

私の部屋は、8階で、6人部屋をコロナ禍で4人仕様に変えてあり、広々としていました。

窓際で見晴らしも最高で、内装も新調したばかりのようで、大変清潔でした。

 

それから、売店に行き、パジャマのレンタル契約をして来ました。一日200円程度で借りられて、リーゾナブルです。

私はお腹を切るので、ウエスト部分にゴムのないガウンタイプにしました。

 

部屋でパジャマに着替えると、不思議なもので急に気持ちも患者モードになってきます。

 

血液検査やら、血圧やら、身長体重などを測ります。

 

すると最初の食事、昼食です。

具だくさんのうどんでした。

これから数日間、ずっと病院食を食べ続けるわけですが、この病院の食事は、私の抱いていたいわゆる病院食よりも美味しく、豪華でした。

 

食事が終わると、いきなり看護婦さんが、コップに入った下剤を持ってきました。

せっかく今食べたのに、もう下剤⁉︎

しかも、まだ夕食も食べるのに、もう下剤⁉︎

下剤は、10倍濃縮ポカリスエットのような味で、150ccくらいありました。

 

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そして次は、実際に手術室の前まで行き、麻酔科の先生オペナースさんから、手術と麻酔の話を聞きました。

今回は全身麻酔なのですが、危険性についての説明を聞くと、同意書にサインしたくなくなります。

本当にそれくらい危険を秘めているのだと思うと、本当に怖くなりました。

 

オペナースさんは、手術の流れを説明してくれましたが、この手術では、口から酸素チューブを挿管しながら長時間手術するので、ほぼ100%喉が痛くなり一時的に声が出なくなるそうです。

また、挿管により前歯の損傷も起こる可能性があるそうです。

手術は他臓器の影響を無くすために、頭を下げて行うので、肩への負担がかかるそうです。

お腹の中を見やすくする為に、腹腔内はガスでパンパンに満たすとも言っていました。

更に、切除した子宮などは、膣から取り出す為、脚も開脚姿勢になるそうです。

その上からロボットのダビンチ君がのしかかっているわけです。

これら全て総合すると、私の脳裏には、物凄く恐ろしい地獄絵図が完成してしまいました。

こんなの本当に明日やるのか、私?

 

同意書にサインして、気を取り直して部屋に戻り、術前最後のシャワーを浴びました。

 

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そして夕方。

ついに来ました、第一波が…!

下剤が効いてきたのです。

良かった良かったと思ったのも束の間、ここから私の悪夢の一夜が始まるのでした。

 

結局、朝までに私は、なんと15回もトイレ通いをし、出るものは水のみ…という状態になっても、まだ尚トイレに行き続けました。

おかげで、術前の恐怖や緊張を感じる余裕もなく済んだ…とも言えます。

 

 

  • 7月7日 (手術当日)

 

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そして寝不足で迎えた朝、看護婦さんは私が一晩中下痢で苦しんだと知っているにも関わらず、「じゃあ、ダメ押しで浣腸しましょうね!」と言って、更に浣腸をしてくれました。

もうもはや、どうにでもなれ状態の私…。

💩をしたら、チェックするので、流さずにナースコールで呼んで見せるようにと言われました。

もちろん一発合格!

もともとお腹には何も入ってないのだから。

 

そして、部屋で緑色の手術着に着替えると、付き添いの娘が病院に到着したので、看護婦さんと娘と3人で地下の手術室に歩いて向かいました。

 

ドラマなんかでは、必ずベッドに寝て、家族に手を握られながら、手術室まで押されていくのですが、私の場合、徒歩でスタスタ歩いて手術室に入って行ったのでした。

 

手術室のドアが開くと、私を待っていたのは、ダビンチ君でした!

残念ながら、その肝心なアーム部分はカバーで保護されていて、見ることはできませんでしたが、十分迫力がありました。

アイツを、私の主治医は「操縦する」と言っていたなあ…。

女医さんなのに、なんかめちゃくちゃカッコいいなと思いました。

 

部屋の中央の無影灯の下には、ベッドが鎮座しており、オペナースさんに、そこに寝るように言われました。

 

そして、瞬く間に、私の身体にはいろいろな機器が付いていきました。

最後に、酸素マスクがつけられて、今から麻酔薬を入れると言われたところまでが、私の術前の記憶の最後です。

 

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次に意識が戻った時、朦朧とする中で、酸素の挿管チューブが抜かれたのがわかりました。

とにかくそれが最初の記憶です。そして私は無意識の中で時計が12:43ごろを指しているのを見ました。

それで、ああ、終わったんだ!と思ったのです。

 

手術時間は、もともと4、5時間と言われていたので、4時間弱だったと言うことは、まあまあ順調だったということでしょう。

 

そしてその瞬間、思ったのは、「とにかく下腹部が痛い!」という事でした。

 

人の話によると、麻酔が覚めた瞬間は、まだ痛みは感じず、麻酔がどんどん切れる過程で痛みを感じ始める…ということだったのですが、私の場合は全然違って、覚めた瞬間から地獄が始まりました。

 

娘が迎えに来ていたようですが、何となくしか記憶になく、とにかくお腹が痛いから、早く痛み止めの点滴を始めて欲しいということしか頭にありませんでした。

でも、声を上げたくても、挿管チューブの後遺症で、喉がガラガラで声があまり出ないのです。

とりあえず、小さな声で、「お腹 痛い」と言い続けてました。

 

すぐにベッドは部屋に運ばれ、この後6時間くらい、地獄の淵を彷徨うことになりました。

 

この最初の6時間は、痛み止めの点滴が全く効かず、かと言って、身体を丸めて痛みに耐えることもできず、どうする事も出来なかったのです。

 

痛いのに、ただ上を向いてお行儀良く寝るしかできないのです。

脚さえも、血栓を防ぐ為に、空気圧マッサージャーに繋がれているのです。

子宮を取った部分の激痛以外に、もちろんお腹の5つの傷も痛いわけで、横を向く事もできません。

 

今となっては、自分がどうやって乗り切ったのか、思い出せませんが、とにかく6時間くらい経つと、突然痛み止めが効果を発揮し始め、急激に痛みが引いていきました。

もちろん痛くなくなったわけではありませんが、我慢できるレベルの痛みになったのです。

 

そして、私はようやく、少し眠りました。

 

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  • 7月8日 (手術の翌日)

 

目覚めると、ちょっと楽になった自分がいました。

ほんの半日前は、地獄の淵にいたのに、気づくともう地獄は見えませんでした。

 

看護婦さんが、朝食を持ってきてくれました。

納豆と梅干しと和物と味噌汁とご飯でした。

いくらなんでも、さすがに昨日から飲まず食わずの私は、味噌汁を少し飲んで、梅干しでご飯を3口食べるのがやっとでした。

でも、和食でまだ良かったなと思いました。

 

食事が終わると、看護婦さんが、身体を拭いてくれました。

驚いたのは、下半身にはお湯をかけながら、洗ってくれた事です!凄い…

そして、昨日一日中着ていた手術着から、パジャマに着替えさせてくれました。

顔に塗る、美容液と化粧水まで取ってくれたので、いつものようにお顔のお手入れまでできました。

こうなると急に、健常者になった気分になります。

 

そこですかさず、看護婦さんが言いました。

 

「じゃあ歩く練習してみましょう!」

 

これは本当に、マジか?という感じでした。

だって半日前は地獄の淵だったのに…!

 

とりあえず、座ってみましょう!

 

とりあえず、座ったまま、脚をバタバタさせてみましょう!

 

とりあえず、立ってみましょう!

 

とりあえず、ちょっと歩いてみましょう!

 

とりあえず、病棟を1周してみましょう!

 

とりあえず、もう一周してみましょう!

 

看護婦さんの巧みな誘導により、意外にも、私はあっさりと、そしてスタスタと、病棟2周の最初のミッションをクリアしたのでした。

これには自分でもビックリしました。

 

看護婦さんも、私があまりにスタスタ歩くので、ビックリしていて、「体重が軽いということは、やっぱり動けるようになるのが早いですね!太っていると、こうはいきませんよ」と言っていました。

 

そして、このミッションをクリアした事で、大きなご褒美がありました。

 

心電図、オキシメーター、マッサージャー、導尿用尿管が、続々と外れたのです!

 

これは、もう自分で何でも歩いてやれよ!という意味です。

 

実は、私にとって、歩く事は、全然大変な事ではありませんでした。

もちろん、歩き出す前は、いきなりそんな事絶対できないと思ったのですが、実は、歩くのは、寝ているよりも、お腹が落ち着く感じがしたのです。

 

こうして、意外とあっさり、私は第一のミッションをクリアしたのでした。

人間の回復力って本当に凄いと実感しました。

 

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  • 7月9日 

 

この日のミッションは2つ!

シャワーと💩です。

 

お腹の傷にはテープが貼ってあるので、そのままシャワーを浴びることができるのです。

 

ふらふらする事もなく、快適にシャワーを浴びてミッションクリア!

 

そして💩は、腸を動かす為に、病棟を2周ほど散歩すると、自然にやってきました。

その後も、更に2回もミッションをしました。

 

こんな風に書くと、💩は簡単なミッションに聞こえますが、実はこの💩ミッションは、簡単そうに見えて難しいのです。

というのも、お腹を切っているので、腹圧をかけるのは厳禁なのです。

排便というのは、どうしても腹圧をかけてしまうので、多くの人は、排便できないのです。

実際、同室になった人達は全員、マグリットという、便の水分を増やして出しやすくする薬を飲んでいました。

 

優等生の私は、ここでも、薬に頼る事なく、ミッションクリアしたのでした。

 

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  • 7月10日 (退院前日)

 

今日のミッションは、内診と、お腹の傷のテープ貼り替えと、退院指導でした。

 

内診は、初めて膣側からチェックをされるので、ドキドキでした。

ちゃんとくっついているんだろうか?と不安になります。

結果は、全て問題なしで、傷は綺麗についているとのこと。

縫い目に触れられても、全く痛みはありませんでした。

本当にホッと一安心です。

 

そう言えば私が凄いと思うのは、手術後、どこからも一滴も出血していないことです!

もちろん手術中は出血したでしょうけれど、それも輸血するようなレベルではありません。

一応生理用ナプキンを付けてはいますが、一滴も出血しません。

もちろんお腹の傷からも出血はゼロです。

本当に凄いと思いませんか?

私は、外科手術と言ったら、もっと血みどろ、血まみれのものを想像していたので、本当に意外でした。

やはりそれだけ医療レベルが高いという事なのでしょう。

 

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そしてもう一つのミッション、お腹の傷のテープですが、これは個人的には、かなり恐怖のミッションでした。

 

私は術前からずっと、お臍に穴を開ける事に、言葉にできない恐怖を感じていました。

でも腹腔鏡手術では、お臍はカメラを挿入する穴なのです!

えええ?子供の頃、お臍は大事だから、無闇にいじっちゃいけないって習わなかったっけ⁉︎

でも私の主治医は「お臍も普通の場所ですよ」と言うのです…。

 

私は、臍の傷が開いて内臓がニョロニョロ飛び出してくるシーンなどを、いろいろ勝手に想像してしまい、お臍の傷を見ることができなかったのです!

 

でも、このミッションでは、先生は事もなげに、5つの傷のテープを剥がして、消毒し、また新しいテープを貼ってくれました。

 

私はついに、透明テープの下に透けて見える臍と対面する事になったのでした。

 

結果…想像していたようなホラーな画像ではなく、まあ普通に切った跡というだけでした。

ああ、良かった良かった!

 

これで私の退院前検査は、途中で行われた血液検査も含めて全て終了し、全て問題なしとなり、主治医から、明日退院できると言われました。

 

これで残すところ退院指導のみとなったわけですが、全然その気配がないのです。退院前に渡される薬もまだ渡されていません。

不思議に思った私が、看護婦さんに聞いてみると、どうやら看護婦さんが共有しているPCの中の私のミッション表では、退院が明日ではなく、明後日になっていたのです。

だから、看護婦さんは、明日それらのミッションをするつもりでいたようでした。

 

どうやら、私の主治医は、通常よりも1日早く退院させようとしていたのですね。

 

というわけで、看護婦さんは慌てて退院指導をして、次の外来までの薬をガバッと渡してくれました。

 

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余談ですが、実はこの前日くらいまで、ずっと、言葉にできないような違和感がありました。

食事があまり食べられないのです。

お腹は空くのに、食べると胃が張ってゲップがしたくなるのです。

ところが、ゲップが上手くできないのです。

ずっと何がおかしいのか、考えていたのですが、どうやら横隔膜あたりが筋肉痛のように痛いのです。

 

主治医に話すと、手術中長い間、頭を下にしていたので、横隔膜あたりが、下から内臓で押され続けたせいではないかと言っていました。

他にも、どうも体内に空気が残っているような感じがして、違和感があったです。

 

それが、今日はグッと改善されてきました。

横隔膜の筋肉痛も、ゲップが出せるレベルに軽減したし、体内のガスの感覚も、急になくなりました。

 

そうなると急に元気が出てきました。

退院前日になってようやく、ブログを書こうとか、ドラマを見ようとか、友達とLINEでいっぱい話したいとか、そんな欲求が復活したのです。

 

私はある意味、これが一番大事なミッションだたような気がしました。

肉体の回復に伴い、ようやく精神も回復してきたのです。

 

人間はちょっとでも体調に違和感があるうちは、他のことに集中できないのだと思いました。

 

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  • 7月11日 (退院の日)

 

退院の朝は、先に会計に行きお金を払ってきました。

約束通り、手術費麻酔費は全額無料だったので、私が払ったのは数万円でした。

最新のロボット手術を無料でできたなんて、私は本当にラッキーでした。

 

そして部屋に戻ると、しばらくして、息子が迎えに来てくれました。

 

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〜入院・手術を振り返って〜

 

こうして家のベッドに横たわってみると、いかに自分の家が落ち着くか、よくわかります。

ベッドの機能はパラマウントベッドには劣るものの、やっぱり自分のベッドは落ち着きます。

 

留守中、全て子供たち2人に任せておいたので、家の中は荒れ気味で、家事をすぐやりたい気持ちになりましたが、身体の事を考えて、全て気にしない事にしました。

 

とりあえず今週だけは、何もしないでダラダラ暮らす事を宣言しました。

 

子供たちは、2人でそれなりに役割分担して、私の面倒を見てくれるようです。

今日のお昼は息子が、夜は娘が食事を上げ膳据え膳で食べさせてくれました。

本当にありがたいことです。

 

友達からも早速、電話が来たり、お祝いのお菓子も送られて来ました。

 

今回入院して強く思うのは、そうやって支えてくれた人達への感謝です。

 

入院中もたくさんの友達が励ましてくれました。コロナ禍で、誰もお見舞いに来ることのできない中で、そういったメッセージによる励ましは、私の唯一の心の支えでした。

 

仏教徒の友達は仏教、キリスト教徒の友達はキリスト教の祈りを教えてくれて、友達自身も一生懸命に手術の成功を祈ってくれました。

 

私が優等生患者として退院できたのも、そういうみんなのパワーの結晶なのでしょう。

本当に感謝しかありません。

 

操縦(執刀)してくださった主治医の先生、並びにいつも笑顔で親切に接してくださった看護婦の皆さんにも、心からお礼が言いたいです。

 

ありがとうございました!

 

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2021/7/11